就労ビザの審査期間
目次
- 1 はじめに:あなたのビザはいつ下りるのか?
- 2 【公式データ公開】就労ビザの平均審査期間
- 3 なぜ審査期間に「バラつき」が出るのか?
- 4 審査期間が長引く「追加資料提出通知」の正体
- 5 審査期間を少しでも短縮するための「5つの鉄則」
- 6 あまりに遅い場合の対処法「審査状況の確認」
- 7 まとめ 〜「待つ時間」を最小限にするために〜
- 8 【参考データ】令和7年(2025年)度 在留審査処理期間(抜粋・推計値含む)
- 9 ※出入国在留管理庁公表データ等を基に作成
- 10 ビザの種類
- 11 認定(呼び寄せ)
- 12 変更(切り替え)
- 13 更新(延長)
- 14 技術・人文知識・国際業務
- 15 62.5日
- 16 38.4日
- 17 33.1日
- 18 高度専門職1号ロ
- 19 19.2日
- 20 33.5日
- 21 35.8日
- 22 経営・管理
- 23 95.8日
- 24 72.1日
- 25 39.4日
- 26 特定技能1号
- 27 65.3日
- 28 58.9日
- 29 40.2日
- 30 技能
- 31 85.2日
- 32 45.1日
- 33 38.6日
- 34 企業内転勤
- 35 42.8日
- 36 24.3日
- 37 34.2日
- 38 ※上記は直近の許可分の全国平均値です。申請時期や管轄局により変動します。
- 39 ※日数は土日祝日を含む暦日です。
はじめに:あなたのビザはいつ下りるのか?
「来月から働いてほしい外国人がいるのに、まだビザが下りない」
「同じ時期に申請した友人はもう許可が出たのに、なぜ自分だけ遅いのか」
外国人雇用や就職活動において、最もコントロールが難しく、かつストレスが溜まるのが「審査待ち」の時間です。採用計画や入社日は決まっているのに、肝心のビザ(在留資格)が手元になければ、1日たりとも働くことはできません。
多くの方が「標準的な審査期間」を知りたがりますが、インターネット上には古い情報や個人の体験談が溢れており、何を信じればよいか分からないのが現状ではないでしょうか。
本記事では、出入国在留管理庁(入管)が公表している最新の公式データ(令和6年度公表分を含む)をベースに、就労ビザの審査期間の実態を徹底解説します。さらに、なぜ人によって審査期間にバラつきが出るのか、少しでも審査を早めるために企業や申請人ができることは何か、行政書士の実務的な視点から「審査期間の真実」に迫ります。
【公式データ公開】就労ビザの平均審査期間
まずは、客観的な数字から見ていきましょう。出入国在留管理庁は、定期的に在留審査処理期間の平均日数を公表しています。 ここでは、主要な就労ビザにおける最新の傾向(令和7年10月許可分等のデータ参照)をご紹介します。
1. 在留資格認定証明書交付申請(海外からの呼び寄せ)
海外にいる外国人を日本に呼び寄せるための手続きです。一般的に、他の申請よりも審査に時間がかかる傾向があります。
- 技術・人文知識・国際業務:約45日〜70日
- 多くの企業で採用される一般的な就労ビザです。申請者の急増により、以前よりも審査期間が長期化しています。2ヶ月以上かかるケースも珍しくありません。
- 特定技能1号:約50日〜80日
- 人手不足の産業分野での採用拡大に伴い、申請数が激増しています。書類の数が膨大であるため、審査にも相応の時間がかかります。
- 経営・管理:約80日〜100日
- 会社設立や事業計画の審査が含まれるため、依然として審査期間は長いです。3ヶ月〜4ヶ月近くかかることも覚悟が必要です。
- 高度専門職1号ロ:約20日〜35日
- ポイント制を利用した高度人材向けのビザです。優遇措置として審査が優先されるため、比較的早く結果が出ます。
【ポイント】 「認定申請」は、対象者がまだ日本にいないため、在留期限切れのリスクがありません。そのため、入管内部での優先順位が相対的に低くなりやすく、繁忙期には後回しにされる傾向があります。余裕を持って入社予定日の3〜4ヶ月前には申請を行うことが推奨されます。
2. 在留資格変更許可申請(ビザの種類の変更)
すでに日本にいる外国人(留学生など)が、就職に伴って別のビザに変更する手続きです。
- 留学 → 技術・人文知識・国際業務:約35日〜60日
- 新卒採用のシーズン(12月〜4月頃)は申請が殺到するため、通常よりも時間がかかります。
- 技能実習 → 特定技能1号:約45日〜70日
- 移行の手続きです。実習時代の評価なども関わるため、一定の時間を要します。
【ポイント】 変更申請は、現在のビザの期限内に結果が出なくても、申請さえ受理されていれば「特例期間」として最長2ヶ月間は日本に滞在できます。しかし、就労に関しては「許可が出るまで新しい仕事はできない」のが原則です(※資格外活動許可の範囲を除く)。したがって、卒業後すぐ4月1日から働きたい場合は、前年の12月〜1月中に申請を済ませておく必要があります。
3. 在留期間更新許可申請(ビザの期間延長)
すでに就労ビザを持っている人が、期間を延長する手続きです。
- 全般的に:約25日〜45日
- 勤務先や職務内容に変更がなければ、審査は比較的スムーズです。早ければ3週間程度でハガキが届くこともあります。
- ただし、転職して初めての更新の場合は、実質的に「変更申請」と同じレベルの審査が行われるため、1.5ヶ月〜2ヶ月かかることがあります。
【注意】上記の数字はあくまで「平均値」です このデータは、問題なくスムーズに許可された案件と、何度も追加資料を求められて長引いた案件をすべて足して割ったものです。また、「許可」になった案件のみのデータであり、不許可になった案件や取り下げた案件は含まれていません。実際には、この平均日数よりも長くかかるケースが多々あることを覚悟しておくべきです。
なぜ審査期間に「バラつき」が出るのか?
同じ時期に、同じ会社に申請したのに、Aさんは2週間で許可、Bさんは2ヶ月待っても音沙汰なし。このようなケースは珍しくありません。なぜ審査期間にこれほどの差が生まれるのでしょうか。その理由は大きく3つの要因に分解できます。
理由1:申請の種類と優先順位
入管の内部には、審査の優先順位が存在します。
- 最優先:在留期限が迫っている「更新」「変更」申請
- すでに日本にいる人のビザが切れてしまうとオーバーステイになってしまうため、期限管理の観点から優先的に処理されます。
- 後回し傾向:在留期限のない「認定」申請(呼び寄せ)
- まだ日本に来ていない、あるいは短期滞在で期限に余裕がある場合などは、緊急性が低いと判断され、繁忙期には後回しにされがちです。
また、「高度専門職」のように、法律や制度で「優先的に処理する」と明記されているビザは、一般のレーンとは別のファストトラックに乗るため、圧倒的に早いです。
理由2:入管の「繁忙期」の影響
入管には明確な繁忙期があります。それは「春(2月〜5月)」です。
- 留学生の卒業・就職シーズン(4月入社)
- 企業の人事異動シーズン
- 学校の新学期
この時期は、通常の倍以上の申請が窓口に殺到します。審査官一人あたりが抱える案件数が急増するため、物理的に処理が追いつかず、審査期間が長期化します。通常なら1ヶ月で終わる審査が、この時期は2〜3ヶ月かかることもザラにあります。
逆に、夏〜秋にかけては比較的落ち着いていることが多く、平均日数よりも早く結果が出ることがあります。
理由3:申請人(外国人・企業)個別の事情
これが最も大きな要因です。審査期間が長引く典型的な「個別事情」には以下のようなものがあります。
- 企業の規模とカテゴリー
- カテゴリー1(上場企業など):四季報のコピーなど最低限の書類で済むため、審査も早く終わります。信用力が高いためです。
- カテゴリー3・4(中小企業・新設会社):決算書、事業計画書、理由書など大量の資料を読み込む必要があるため、審査に時間がかかります。
- 外国人の過去の在留状況
- 過去にオーバーステイ歴がある、留学生時代にアルバイトをしすぎていた、税金の未納があった、などのマイナス要素がある場合、慎重に審査されるため時間がかかります。
- 職務内容の複雑さ
- 「通訳」や「プログラマー」のように分かりやすい職種なら早いですが、「総合職」や「新規事業担当」など、具体的に何をするのか分かりにくい職務内容の場合、該当性の判断に時間を要します。
審査期間が長引く「追加資料提出通知」の正体
申請から1ヶ月〜2ヶ月経った頃、入管から封筒が届くことがあります。許可の通知(ハガキ)だと思って開けてみると、A4サイズの「資料提出通知書」が入っていることがあります。
これがいわゆる「追加資料の要求」です。これが来ると、審査期間は確実に延びます。
1. なぜ追加資料が求められるのか?
審査官が提出された書類だけでは「許可・不許可」の判断が下せないからです。
- 「業務内容の説明が抽象的で分からない」→ 詳細な業務説明書や一日のスケジュールを出してください。
- 「会社の経営状態が不安だ」→ 最新の試算表や事業計画書を出してください。
- 「本人の経歴に空白期間がある」→ その期間何をしていたか説明してください。
2. 追加資料と審査期間の関係
追加資料通知には、通常「○月○日までに提出してください(期限は概ね1〜2週間後)」と書かれています。
しかし、資料を提出したからといって、すぐに審査が再開されるわけではありません。提出された資料が担当審査官の手元に届き、再び審査の列に並び直すことになります。
一般的に、追加資料が発生すると、トータルの審査期間はプラス1ヶ月程度延びると考えておくべきです。
3. 追加資料は「チャンス」である
追加資料が来ると不安になるかもしれませんが、これは「不許可にする前に、説明するチャンスをくれている」と捉えるべきです。もし一発アウトの案件なら、追加資料を求めずにいきなり不許可通知が来ます。
審査官は「許可を出したいが、ここだけ確認したい」と考えていることが多いのです。ここで的確かつ迅速に資料を出せば、許可への道は開けます。
審査期間を少しでも短縮するための「5つの鉄則」
入管の審査スピード自体を外部からコントロールすることはできません。「お金を払うから早くしてくれ」という特急料金制度(一部の国にはありますが)も日本にはありません。
しかし、「審査官が迷わず、スムーズに判断できる書類」を作ることで、結果的に審査を早めることは可能です。
鉄則1:書類の「完全性」を高める
「必須書類」だけ出せばいいと思っていませんか? 入管のHPに載っている必要書類は、あくまで「最低限」のものです。
審査官が疑問を持ちそうな点は、先回りして「任意書類(理由書、補足説明書)」を添付しましょう。
- 事業内容が分かりにくいなら、会社案内やHPのプリントアウトをつける。
- 赤字決算なら、事業計画書をつける。
- 職務内容が特殊なら、図解入りの説明書をつける。
「追加資料」を求められるタイムロスを未然に防ぐことが、最大の時短テクニックです。
鉄則2:カテゴリーを意識する
勤務先が「カテゴリー1(上場企業等)」や「カテゴリー2」に該当する場合、提出書類が大幅に省略されます。審査官の負担が減るため、審査も早いです。
自社がどのカテゴリーに属するかを正しく把握し、もしカテゴリー2以上に該当するなら、その証明(源泉徴収税額の法定調書合計表の写し等)を忘れずに提出しましょう。
鉄則3:電子申請(オンライン申請)を活用する
近年、入管はオンライン申請を推奨しています。窓口での待ち時間がないだけでなく、審査着手が比較的早いという声も聞かれます(※公式には審査期間が変わるとはアナウンスされていませんが、郵送等の物理的なタイムラグがない分、効率的です)。
また、24時間いつでも申請できるため、書類が完成した瞬間に申請できるメリットもあります。
鉄則4:繁忙期を避けて申請する
可能であれば、2月〜4月の超繁忙期を避けて申請します。
- 4月入社の新卒採用の場合、前年の12月〜1月には申請を済ませておく。
- 在留期限の更新は、期限の3ヶ月前から申請可能です。ギリギリまで待たず、3ヶ月前になったら即座に申請する。
これにより、混雑のピークに巻き込まれず、比較的スムーズな審査が期待できます。
鉄則5:高度専門職ビザを検討する
もし申請人が高学歴・高年収・高い日本語能力などを持っている場合、「高度専門職ビザ」の要件を満たす可能性があります。
高度専門職ビザは、法務省令で「優先的に処理を行う」と明記されています。通常の就労ビザなら1〜2ヶ月かかるところ、高度専門職なら2週間〜1ヶ月で許可が出るケースも多いです。ポイント計算表を確認し、70点以上あるなら検討する価値は大いにあります。
あまりに遅い場合の対処法「審査状況の確認」
「平均期間を大幅に過ぎているのに音沙汰がない」
「入社日が迫っていて、どうしても状況を知りたい」
このような場合、入管に問い合わせることは可能です。ただし、コツがあります。
1. 問い合わせのタイミング
申請から2週間や3週間で問い合わせても、「審査中です」としか言われません。むしろ審査の妨げになります。
目安としては、「平均審査期間+1ヶ月」が経過しても連絡がない場合、あるいは「入社予定日の2週間前」になっても結果が出ない場合などに限定すべきです。
2. 問い合わせの方法
基本的には、申請した地方入国管理局の審査部門に電話で問い合わせます(窓口に行く必要はありません)。
その際、以下の情報を手元に用意してください。
- 申請受付番号(申請時に渡された受付票に記載されている番号。例:東労1234…)
- 申請人の氏名、生年月日
- 申請日
3. 何を聞けるのか?
電話で教えてもらえるのは、基本的に「現在のステータス」のみです。
- 「現在審査中です」(まだ結論が出ていない)
- 「追加資料の通知を送りました」(郵便事故の可能性もあるので確認)
- 「結果を郵送しました」(近日中に届く)
「あと何日で終わりますか?」「許可ですか?」といった質問には絶対に答えてくれません。
ただ、電話を入れることで、忘れられていた案件が動き出す(棚の奥から出てくる)という都市伝説的な効果も、実務上は否定できません。あまりに遅い場合は、丁寧に状況を伺うアクションも有効です。
まとめ 〜「待つ時間」を最小限にするために〜
就労ビザの審査期間について、最新データと現場の実情を解説してきました。
- 平均期間は1ヶ月〜3ヶ月:申請の種類(認定・変更・更新)によって異なる。
- バラつきの要因:入管の繁忙期(春)、企業の規模、個別の事情が大きく影響する。
- 審査を早める唯一の方法:追加資料を求められないよう、最初から「完璧で分かりやすい書類」を提出すること。
ビザ申請は、提出して終わりではありません。許可のハガキ(または在留資格認定証明書)が手元に届くまでが戦いです。
「審査に時間がかかっている=不許可」とは限りません。慎重に審査されているだけの場合も多いです。焦る気持ちは分かりますが、果報は寝て待てという心構えも必要です。
しかし、もし入社日が迫っていたり、ご自身のケースが複雑で不安な場合は、申請の段階からビザ専門の行政書士に依頼することを強くお勧めします。
専門家は、「審査官がどこを見るか」「どう書けば一発で伝わるか」を熟知しています。書類のクオリティを高めることで、結果として審査期間を短縮し、確実な許可を引き寄せることが可能です。
貴重な時間を無駄にしないよう、計画的かつ戦略的なビザ申請を行いましょう。
【参考データ】令和7年(2025年)度 在留審査処理期間(抜粋・推計値含む)
※出入国在留管理庁公表データ等を基に作成
ビザの種類 |
認定(呼び寄せ) |
変更(切り替え) |
更新(延長) |
技術・人文知識・国際業務 |
62.5日 |
38.4日 |
33.1日 |
高度専門職1号ロ |
19.2日 |
33.5日 |
35.8日 |
経営・管理 |
95.8日 |
72.1日 |
39.4日 |
特定技能1号 |
65.3日 |
58.9日 |
40.2日 |
技能 |
85.2日 |
45.1日 |
38.6日 |
企業内転勤 |
42.8日 |
24.3日 |
34.2日 |



