就労ビザと企業内転勤ビザの違い

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就労ビザと企業内転勤ビザの違い

はじめに

アイ・ビー飛鳥行政書士法人です。

企業のグローバル化が加速する現代において、「海外の優秀な人材を日本に呼びたい」と考える経営者や人事担当者様は非常に多くいらっしゃいます。しかし、その際に最初の壁となるのが「ビザ(在留資格)の選択」です。

「海外の大学を卒業した優秀な人材を新規採用したいが、どのビザが適切なのか?」

「海外子会社で長年活躍しているが、大学を卒業していない社員を日本に転勤させることはできないのか?」

「採用候補者によって『技術・人文知識・国際業務』と『企業内転勤』、どちらを申請すれば良いか分からない」

こうしたお悩みは、私たちが日々受けるご相談の中でも特に多いものの一つです。就労ビザの選択を誤ると、申請が不許可になるだけでなく、事業計画に大きな遅れが生じる可能性もあります。特に、「技術・人文知識・国際業務」ビザと「企業内転勤」ビザは、従事できる業務内容が似ているため混同されがちですが、その要件や性質は全く異なります。

この記事では、ビザ専門の行政書士として、これら2つの重要な就労ビザ、「技術・人文知識・国際業務」と「企業内転勤」の決定的な違いを、あらゆる角度から徹底的に比較・解説します。この記事を最後までお読みいただくことで、貴社が呼び寄せたい人材に最適なビザはどちらなのか、明確な判断基準を持つことができるようになります。

結論ファースト!2つのビザの決定的な違いとは?

詳細な解説に入る前に、まずは両者の最も本質的な違いを理解しましょう。それは、「人材を確保する方法」です。

  • 技術・人文知識・国際業務ビザ:国内外の市場から**「新規で人材を雇用する」**ためのビザ。
  • 企業内転勤ビザ:自社の海外拠点など、**「グループ企業内で人事異動させる」**ためのビザ。

この根本的な違いが、学歴要件の有無や申請書類の違いなど、様々な差異を生み出しています。

以下に、両者の主な違いを比較表にまとめました。まずは全体像を掴んでください。

比較項目 技術・人文知識・国際業務ビザ 企業内転勤ビザ
目的 日本国内の企業が新規で外国人を雇用するため グループ企業内での人事異動(転勤・出向)
学歴要件 原則必須(大学・専門学校卒など) 不要
実務経験要件 学歴要件を満たせない場合、原則10年以上(国際業務は3年以上) 転勤元の海外拠点で継続して1年以上の勤務経験が必須
企業間の関係 不問(どんな企業でも雇用可能) 必須(本店・支店、親会社・子会社、関連会社など)
従事できる業務 ホワイトカラー業務(技術、人文知識、国際業務) 「技術・人文知識・国際業務」ビザと同じ範囲の業務
雇用期間 期間の定めは問われない(無期雇用も可) **「期間を定めて」**の転勤であることが前提
給与の支払元 原則、日本の雇用主 日本の転勤先、海外の転勤元、または両方からでも可
転職の自由度 在留資格の範囲内で、要件を満たせば可能 原則不可(グループ内での再転勤も制限あり)

それでは、各ビザの詳細について、一つずつ掘り下げていきましょう。

「技術・人文知識・国際業務」ビザの徹底解説

通称「技人国(ぎじんこく)」ビザと呼ばれるこの在留資格は、日本で働く外国人の就労ビザとして最も代表的なものです。

目的と許可される業務内容

大学や専門学校で得た専門知識や、実務経験を通じて培ったスキルを活かして、日本の企業で働くことを目的としています。許可される業務は、いわゆる「ホワイトカラー」と呼ばれる専門職に限定されます。

  • 技術(理系分野)
    • 例:システムエンジニア、プログラマー、機械設計、建築設計士、開発研究者など
  • 人文知識(文系分野)
    • 例:企画、営業、マーケティング、経理、人事、経営コンサルタントなど
  • 国際業務(外国の文化・感性を活かす分野)
    • 例:翻訳、通訳、語学教師、海外取引業務、広報・宣伝、デザイナーなど

重要な注意点:単純労働と見なされる業務(例:工場でのライン作業、建設現場での肉体労働、飲食店での接客・配膳のみ)は、原則として認められません。

取得するための最重要要件:「学歴」と「業務内容の関連性」

技人国ビザの審査で最も厳しく見られるのが、本人の学歴(または職歴)と、日本で行う業務内容との間に関連性があるかという点です。

  • 大学(短大含む)を卒業している場合:
    大学での専攻科目と、従事する業務内容に関連性があることが必要です。
    (例:経済学部卒 → 企業の経理・マーケティング業務、情報工学部卒 → SE・プログラマー)
  • 日本の専門学校を卒業している場合:
    専門学校での専門課程と、従事する業務内容に密接な関連性が必要です。大学よりも厳格な関連性が求められます。
  • 学歴要件を満たさない場合:
    原則として10年以上の実務経験(国際業務の場合は3年以上)を証明する必要があります。これを立証するのは非常に困難なケースが多いです。

メリットとデメリット

  • メリット
    • 学歴と業務内容の要件さえ満たせば、世界中から優秀な人材を新規に雇用できる。
    • 企業の資本関係などを問われないため、採用の自由度が高い。
  • デメリット
    • 学歴要件が厳しく、特に専攻と業務の関連性を合理的に説明する必要がある。
    • 実務経験のみで要件を満たすことのハードルが非常に高い。

「企業内転勤」ビザの徹底解説

企業内転勤ビザは、グローバルに事業を展開する企業が、国際的な人事戦略を円滑に進めるために設けられた在留資格です。

目的と許可される業務内容

外国にある親会社や子会社などの関連会社から、日本の拠点へ社員を転勤・出向させることを目的としています。

許可される業務内容は、「技術・人文知識・国際業務」ビザで認められている業務と全く同じです。つまり、こちらも単純労働は認められず、専門的なホワイトカラー業務に限られます。

取得するための最重要要件:「1年以上の勤務実績」と「企業間の関連性」

企業内転勤ビザの審査では、学歴の代わりに以下の2点が絶対的な要件となります。

  • ① 転勤元での1年以上の勤務実績:
    申請に係る転勤の直前に、海外の転勤元である本店や支店などで、継続して1年以上、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事している必要があります。過去に1年働いていた、というだけでは認められません。
  • ② 企業間の関連性:
    転勤元(海外)と転勤先(日本)の事業所に、密接な関係があることが必要です。具体的には、以下のような関係が認められます。

    • 本店と支店(同一法人内の異動)
    • 親会社と子会社
    • 子会社と子会社
    • 親会社と孫会社
    • 子会社と孫会社
    • 関連会社(議決権の20%以上50%以下を所有するなど、一定の支配関係がある場合)
  • 「財務諸表等に関する規則」に基づいて判断されるため、単なる取引先や業務提携先というだけでは認められません。この関係性を公的な書類で証明することが審査の鍵となります。

メリットとデメリット

  • メリット
    • 学歴や実務経験年数が問われない。 これが最大のメリットです。大学を卒業していない優秀な社員や、経験の浅い若手社員でも、1年以上の勤務実績があれば日本に呼ぶことが可能です。
    • 自社グループ内の人材なので、能力や人柄を把握しており、即戦力として期待できる。
  • デメリット
    • グループ企業内での異動に限定されるため、新規採用には使えない。
    • 親会社・子会社などの資本関係を、登記簿謄本や出資関係図などで厳密に証明する必要があり、書類準備が煩雑になる場合がある。
    • あくまで「期間を定めた転勤」が前提であり、無期限の異動は想定されていない。

【ケース別】あなたの会社はどちらのビザを選ぶべきか?

理論的な違いを理解した上で、具体的なケースに当てはめてみましょう。

ケース1:海外の有名大学でITを専攻した新卒学生を、エンジニアとして採用したい。

→ 「技術・人文知識・国際業務」ビザ

(解説:新規採用であり、学歴と業務の関連性も明確なため、典型的な技人国ビザのケースです。)

ケース2:海外子会社で5年間、営業部長として活躍している社員(高校卒業)を、日本の本社に異動させ、マネージャーとして迎えたい。

→ 「企業内転勤」ビザ

(解説:学歴要件を満たさないため技人国ビザは取得できませんが、子会社で1年以上の勤務実績があるため、企業内転勤ビザの対象となります。)

ケース3:インドの関連会社で働くエンジニアを、日本の本社で2年間の開発プロジェクトに参加させたい。彼は今の会社で働き始めてまだ8ヶ月だ。

→ どちらのビザも現時点では取得不可

(解説:企業内転勤ビザは「1年以上の勤務実績」がないため不可。技人国ビザは、彼が学歴要件を満たしていれば申請可能ですが、それは「新規雇用」の扱いになります。もし関連会社からの出向という形を維持したいのであれば、勤務期間が1年を超えるのを待つ必要があります。)

ケース4:日本国内の転職サイトを通じて、現在シンガポールで働いているデザイナーと雇用契約を結んだ。

→ 「技術・人文知識・国際業務」ビザ

(解説:グループ内の異動ではなく、純粋な新規採用であるため、企業内転勤ビザは選択肢になりません。本人の学歴や実務経験が要件を満たすかを確認します。)

申請手続きと必要書類の主な違い

申請時の提出書類も、それぞれのビザの要件を反映したものになります。

  • 「技術・人文知識・国際業務」ビザで特に重要な書類
    • 卒業証明書・成績証明書:学歴と専攻を証明するため。
    • 職務経歴書・在職証明書:実務経験を証明する場合に必要。
    • 雇用理由書:なぜこの外国人を採用する必要があるのか、どのような専門業務に従事させるのかを具体的に説明する書類。
  • 「企業内転勤」ビザで特に重要な書類
    • 転勤命令書や出向契約書:転勤の事実、期間、地位、報酬などを証明するため。
    • 転勤元の在職証明書:海外拠点で1年以上、専門業務に従事していたことを証明するため。
    • 資本関係を明らかにする資料:株主名簿、会社の登記簿謄本、有価証券報告書、会社案内など、転勤元と転勤先の関係性を示す客観的な資料。

なお、どちらのビザ申請においても、受入れ企業(日本法人)の規模や経営状況に応じて提出書類が異なります。上場企業など(カテゴリー1・2)は提出書類が大幅に簡略化され、中小企業や新設法人(カテゴリー3・4)は事業の安定性・継続性を証明するためにより多くの資料が必要となります。

まとめ – 適切なビザ選択が成功の鍵

ここまでご覧いただいた通り、「技術・人文知識・国際業務」ビザと「企業内転勤」ビザは、似て非なる在留資格です。

  • 学歴を活かした新規採用であれば**「技術・人文知識・国際業務」**
  • 学歴不問でグループ内の人材を異動させるなら**「企業内転勤」**

この大原則を理解することが、適切なビザ選択の第一歩です。しかし、個別のケースでは、「この業務内容は専門的と認められるか?」「この企業関係は関連会社に該当するか?」といった専門的な判断が必要になる場面が数多く存在します。

安易な自己判断で申請を進めた結果、不許可となり、優秀な人材の確保が数ヶ月、あるいは一年以上遅れてしまうケースも少なくありません。

当事務所のサポート

当事務所では、就労ビザに関する豊富な経験と専門知識を持つ行政書士が、お客様の状況を丁寧にヒアリングし、最適なビザ戦略をご提案いたします。

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「この人材は日本に呼べるのか?」その疑問を持たれた最初の段階で、ぜひ一度、私たちビザの専門家にご相談ください。お客様のグローバルな事業展開を、ビザ申請の面から強力にサポートいたします。

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