【高度人材厳格化】ポイント要件の新規準の全貌
はじめに
2024年8月中旬、日本経済新聞にて「高度専門職の在留資格におけるポイント表が改定される」との報道がありました。年収要件の厳格化や、一部の資格をポイント加点対象から除外するなど、実質的な「ハードル引き上げ」を示唆する内容が含まれており、現在日本で働く外国人の方々や、将来的な永住申請を見据えている方々に大きな動揺が広がっています。
「自分の年収ではポイントが足りなくなるのではないか」「転職した際に高度専門職の資格を維持できないのではないか」「計画していた永住申請が白紙になるのでは」といった不安の声を多く頂戴しています。
本記事では、この高度専門職ポイント表の改定予想について、なぜ制度が変わるのか、どの点が改定されるのか、そしてこれから永住を目指す方は具体的にどう動くべきなのか、その全貌を徹底解説します。
1. なぜ今、高度専門職の要件が厳格化されるのか?
今回の改定が検討されている背景には、大きく分けて2つの理由があります。
① 物価と賃金水準の上昇(10年前の基準からの脱却)
現在運用されている高度専門職のポイント表は、2015年に設定されたものです。当時から約10年が経過し、日本の最低賃金や物価は大きく上昇しました。10年前の年収基準のままで「高度人材」と認定することに、経済の実態とのズレが生じてきているため、基準のベースラインを引き上げる狙いがあります。
② 政府の方針転換「量から質へ」の厳選
現在、日本では深刻な人手不足を補うため、特定技能制度の拡充や、新たな「育成就労制度」の創設など、外国人労働者の「量」を確保する動きが活発化しています。
その一方で、永住権取得への最短ルートである「高度専門職」については、「真に高い給与を得て、日本社会へ大きく貢献する優秀な外国人のみに絞る」という『厳選』の方向へと舵を切りました。多くの外国人に永住への抜け道として使われることを防ぎ、真のエリート層のみに絞り込むという政府の明確な意思表示と言えます。
2. いつから施行される?法改正不要のスピード施行に注意
正式な発表はまだですが、報道等によれば「2026年度内(2027年3月末まで)」の施行を目指しているとされています。
ここで注意すべきは、ポイント表の改定は「法律(入管法)の改正」を伴わず、「法務省令(ガイドライン・告示)」の改正のみで実施できるという点です。国会での長時間の審議を経る必要がないため、パブリックコメントの実施後、数ヶ月という非常に短いスパンでスピーディに施行される可能性が高いのが特徴です。「まだ先のことだろう」と油断していると、あっという間に新基準が適用されてしまいます。
3. 予想される「2つの大きな改定ポイント」
正式な発表を待つ必要がありますが、実務的な観点から以下の2点が大きく変わると予想されます。
① 年収基準の大幅な引き上げ
現在、高度専門職(例えば1号ロなど)は、年収300万円を下回ると、学歴や職歴でどれほど点数があっても申請すらできません。今回の改定では、この「最低年収ライン」が日本人世帯の平均年収に近い水準(400万円〜500万円程度)にまで引き上げられるのではないかと予想されています。
この改定が実現すると、特に20代〜30代前半の若手層にとって大打撃となります。日本の企業構造上、新卒〜若手で年収500万円をクリアできるのは一部の大企業や外資系企業に限られるため、若手人材が高度専門職を取得することが極めて困難になるでしょう。
② 加点項目の整理と簡略化(審査の迅速化)
現在、外国の特定の資格や研究実績など、入管の審査官が裏付け調査に膨大な時間を要する加点項目が存在します。審査の迅速化と客観性を高めるため、証明が複雑な項目をポイントから除外し、年収や年齢、指定大学の卒業など、数値化・客観視しやすい項目へポイントを集中させるような改定が行われると見られています。
※なお、年収2,000万円以上などを条件とする「特別高度人材(J-Skip)」制度については、現在の枠組みが維持される見込みです。
4. 既存の高度専門職ビザ保持者への影響(更新・転職)
すでに高度専門職ビザを持っている方にとっても、決して対岸の火事ではありません。
- ビザの更新時: 高度専門職1号は5年の在留期間が付与されますが、次回の更新時には「新基準のポイント表」で計算される可能性が高いです。その際、新基準で70点(または80点)を満たせない場合、更新は許可されず、「技術・人文知識・国際業務」などへ在留資格をランクダウンさせざるを得なくなります。(親の帯同や配偶者の就労などの優遇措置も失われます)
- 転職(変更)時: 高度専門職は所属機関(会社)に紐づくビザです。転職する場合は必ず「在留資格変更許可申請」を行う必要がありますが、転職申請の時点で新基準が施行されていれば、転職先の条件で新ポイント表に基づいた審査が行われます。点数が足りなければ、やはり一般的な就労ビザへダウングレードすることになります。
5. 永住申請への影響(みなし高度人材の罠)
高度専門職を利用した永住申請(70点で3年、80点で1年)の枠組み自体は維持される見込みです。しかし、最も危険なのが「みなし高度専門職」を利用して永住申請をしようと考えている方です。
現在「技術・人文知識・国際業務」等のビザで働いており、「実はポイント計算したら80点あるので、1年待ってそのまま永住申請しよう」と考えている場合、1年後に永住申請する際には「1年前の時点のポイント」と「申請時点のポイント」の両方を申請時の最新のポイント表で満たしている必要があります。
つまり、いざ永住申請するタイミングで新基準が施行されてしまうと、「新基準で計算し直すと80点に届かない」という事態に陥り、永住申請の前提が崩壊してしまうリスクが極めて高いのです。
6. 今すぐ取るべき3つの具体的な対策
このような厳格化の波を乗り越えるため、今すぐに行動すべき3つの対策をお伝えします。
- 早急に「高度専門職」へ資格変更を行う
現在「技術・人文知識・国際業務」ビザ等をお持ちで、ポイント計算して70点や80点を満たしている方は、制度が変わる前に、速やかに「高度専門職1号ロ」へ変更申請を行いましょう。先に高度専門職を取得して5年の在留期間を確保しておくことが、将来の永住に向けた最も確実な防衛策となります。 - 追加の加点ポイント(資格等)を先回りして取得する
新基準になっても対応できるよう、今のうちに取れるポイントを増やしておきましょう。例えば、日本語能力試験(JLPT)のN1を取得すれば15点の加点になります。また、IT関連の国家資格や情報処理技術者試験など、確実に加点される資格の取得を目指して準備を進めることが重要です。 - 専門家に客観的なポイント診断を依頼する
ご自身で「ここは加点されるはずだ」と思っていても、入管の審査実務では認められないケースが多々あります。逆に、ご自身が気づいていない学歴や会社の要件(中小企業のイノベーション促進支援措置など)で加点されることもあります。手遅れになる前に、最新の実務に精通した専門家に相談し、正確なポイント診断と今後のロードマップを作成してもらうことをお勧めします。
当事務所のサポート
当事務所では、永住ビザに関する豊富な経験と専門知識を持つ行政書士が、お客様の状況に合わせて丁寧にサポートいたします。
- 永住権取得の可能性診断
- 生計要件に関する具体的なアドバイス
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当事務所にご相談いただければ、お客様の状況を丁寧にヒアリングし、永住権取得の可能性を最大限に高めるためのサポートをいたします。
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